昨今、カーボンニュートラル実現の機運が高まっているなかで、JAIA会員各社は日本のお客様に、電動車をはじめとした最先端の安全・環境技術を備えた世界各国のバラエティに富んだ輸入車をお届けすることができるよう、技術の発展に伴う新たな課題の解決に向けチャレンジしております。さまざまな魅力を持つ輸入車を日本のお客様にお届けすることを通じて、日本の自動車市場を活性化し、日本の持続可能なモビリティ社会の発展に貢献すべく最大限の努力をして参ります。
2024年上半期の国内自動車市場について、登録台数は約140万台と2年ぶりに上半期として前年を下回りました。外国メーカー車の登録台数につきましても、対前年比7.1%減の113,887台となり、2022年上半期以来2年ぶりに前年を下回りました。
一方で輸入EVについては堅調であり、国内全体ではEVの新車販売台数は2023年11月以降8か月連続でマイナスという状況ですが、輸入EVについては2024年3月以降4か月連続で増加しており、その結果2024年上半期の輸入EVの登録台数は前年比16.7%増の10,785台と上半期で初めて1万台を超え、2020年上半期以降5年連続で上半期過去最高の台数を更新致しました。また、2024年上半期における、外国メーカー車に占めるEVのシェアも9.5%と着実に増加致しました。
このような実績を残すことが出来たのは、政府による切れ目ない継続的な補助金等の各種支援策や、JAIA会員各社がお客様のニーズにこたえられるよう、積極的にEVのラインナップを拡充してきた結果と考えています。
輸入EVのラインナップは、2020年には10ブランド・20モデルでしたが、2024年6月末時点には商用車も含め17ブランド・133モデルにまで拡大していく中で、大型から小型まで、SUVやラグジュアリーモデル、スポーツタイプなど、多種多様なモデルにまで広がりを見せ、ユーザーの選択肢も広がってきています。輸入車がEVのマーケットで積極的な役割を果たしてきたことで、充電インフラなど電動化に関する課題についてJAIAとしても具体的に取り組みを進めており、着実に検討課題が解決の方向に進んで来ております。
車両供給遅れの影響については、会員インポーター各社により状況は様々ですが、回復基調にはあるものの、全体として影響が残っており、今後も厳しい市場環境が続くことは否めない状況です。このような状況の中でも、JAIA会員各社は下半期においても積極的な新型車の導入を進めてまいります。
特に輸入EVについては、税制優遇に加え、補助金など政府からの支援を継続していただき、更に東京都をはじめ各自治体にも支援が広がっていること、加えてJAIA会員各社が積極的に日本市場へ輸入EVを投入していくことで、引き続き販売台数は堅調に増加していくと想定しており、年間では25,000台を超え、本年1月の会見の際に「外国メーカー車の10台に1台がEVになる日も間近」とお伝えしました通り、輸入EVのシェアは1割を超えることを期待しています。
また、海外に目を向ければ、諸外国の脱炭素化に向けた様々な方針、市場動向も十分認識しておりますが、例えばドイツでは2024年上半期のEVのシェアは12.5%であるなか、日本ではまだ国内全体でも1.6%に留まること、加えて、政府による電動車普及の支援が継続することから、日本はまだまだEVの伸びしろがあると考えております。
こうした状況を踏まえれば、輸入EVは堅調に推移し、6年連続で前年実績を上回るものと大いに期待しております。
まず、市場活性化と環境・エネルギー分野に関する活動についてご説明します。最初に、2分野にまたがる活動としてJAIAの電動車の取組みをご紹介します。JAIAでは電動車をさらに広めていくために、①補助金制度等に関する政府への要望活動だけでなく、②電動車普及促進イベントの開催や③充電電圧等に関する規制緩和の検討といった充電インフラの環境整備、④リチウムイオンバッテリーのリサイクルといった4項目を主軸に事業を進めています。
まずは政府に対し、電動車の購入補助金の施策について、継続的に切れ目なく実施していただき、また2023年度補正予算にて1,291億円という大きな予算を確保いただき、ありがとうございます。
次に、輸入電動車の認知向上の取り組みをご紹介します。JAIAは2021年より輸入電動車普及促進のプラットフォームとして活動し、昨年は7月の神戸で輸入電動車普及促進イベントを開催したほか、10月に開催されたJapan Mobility Showに電動車に特化したブースを出展しました。
JAIAは今年11月15・16日の2日間にわたり、東京の中心部である丸の内エリアの複数会場において、昨年に引き続き一般の皆様に輸入電動車の魅力を理解して頂くために、今年は、JAIA会員各社が参加してきたイベントなどをテーマとした企画などさらなる工夫を加えたいと考えています。併せて、カーボンニュートラルを実現するための重要な課題である電動化に向け、充電インフラや整備人材などの課題とそのソリューションや取り組みを紹介する展示も行います。皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。
2050年カーボンニュートラルに向け、電動車を取り巻く充電を含めた、新たな社会システムの整備を中長期的にしていくことが肝要であると考えています。JAIAは会員インポーターとともに電動化の将来を見据えた活動を推進してまいります。
続いて、充電電圧等に関する規制緩和の検討といった充電インフラの環境整備についてお話します。JAIAは充電インフラに関して基礎充電・経路充電・目的地充電における大容量化とともに、質と量を含めた更なる充電インフラの拡充が必要と考えております。
電動車の普及のためには、誰にでも使いやすい充電インフラの充足が必要です。
JAIAは充電インフラに関しては重要な課題として位置づけており、昨今、充電インフラに関して幅広い課題に対応するため、JAIA内に横断的なチームを立ち上げて検討を進めてまいりました。昨年10月に経済産業省で策定された「2030年に向けた充電インフラのロードマップ」には、JAIAの要望の多くを反映して頂きました。現在、対応に向け迅速に動いていただいており、経済産業省をはじめ、関係機関の皆様には感謝申し上げます。
10kWまでの普通充電器への補助金適用に向けたJARI認証の改訂や、高電圧化に関する規制の緩和など、具体的な対応が関係者によって動き出したところであり、JAIAとしてもさらなる課題解決に向け努力していきたいと思います。
特に現在、日本の電圧規制によって、欧米並みの高電圧充電ができない状況にあり、欧州で開発された車のなかには、低い充電電圧を車両の高電圧バッテリーに合わせるため、日本市場のためだけに電圧変換器を開発して搭載しなければならない車もあり、コストのほか変換器の搭載場所の問題など、車両開発上大きな課題となっています。
e-Mobility Powerや東光高岳から350kW超の急速充電器の開発が発表されました。2025年には高電圧の充電器の更なる整備が進むことを大いに期待しています。また、高電圧の充電器の設置にかかる費用面においても、政府からの補助金によるご支援を期待しています。
高速道路上の充電インフラについては、質・量とも充実し、今申し上げたような高電圧の充電器などが整備されることで、より速く充電ができるようになること、また、高速道路の施設の近くにある充電インフラを有効に活用するため、充電事業者の負担が少なくなる方法で高速道路からの一時退出の制度化について、関係者の検討が進むことを期待しています。
併せて東京都の事例にみられるような公共駐車場や集合住宅への充電器設置を促進するための環境づくりや、公道への急速充電器の整備が必要であり、この動きが地方へも展開されることが重要です。
公道への充電器を設置する実証実験が、国内で初めて横浜市で実施され、2021年には青葉区に、2023年2月には都筑区、12月にはみなとみらいエリアに急速充電器機が導入されました。その後2024年4月からは実証実験が事業化されました。東京都は2023年3月に芝公園と代官山エリア、そして同年6月には信濃町で運用が開始されています。このような取り組みがユーザーの利便性の向上につながると考えています。
また、機械式駐車場等への充電器整備については課題が残っており、引き続き関係者の皆様のご支援をお願いしてまいります。
このように高電圧化や公道への充電器の設置が進むと、以前より申し上げている通り、ドイツのように、高電圧の急速充電器を誰でも簡単に利用することができ、充電時間も短くなり、ユーザーが求めている短時間での充電が可能になってくる社会が実現すると考えています。
リサイクル分野では、電動化の推進に必要不可欠なリチウムイオン電池のリユース・リサイクルについて、国内自動車メーカーも含めたリチウムイオン電池の共同回収システムに参加するJAIA会員が着実に増加しております。
引き続き、電池リサイクル関連事業者との意見交換を進め、JAIA会員各社が業界の最新情報を随時把握し、適切に車載用蓄電池の回収に対応できるよう、サポートしてまいります。
続きまして、税制改正要望及び燃費基準に関する取り組みもご説明いたします。
まず、税制改正要望については、与党税制改正大綱にも書かれました通り、現在のエコカー減税の期限である2025年度末にまでに自動車関税諸税の抜本的見直しが行われます。JAIAとしては引き続き過重な自動車関係諸税の負担の更なる軽減と税制の簡素化・公平化を求める要望活動を進めて参ります。特にこれからカーボンニュートラル実現に貢献する電動車の普及を加速する必要がある中で、ユーザーの負担増につながる制度改正は避けるべきであり、EV、PHEV、FCVなど電動車の普及を加速させるための税制改正の検討を政府に対してお願いしていきます。
環境・エネルギー分野において、乗用車の2030年度燃費基準は2020年度基準に比べ、平均燃費ベースで44.3%の大幅な改善が必要となりますが、実燃費を向上させる省エネ技術を評価して、その普及を促すオフサイクルクレジットといった柔軟的措置の導入をJAIAとして要望してまいります。
次に、JAIA会員各社が、日々進歩する技術に対応した先進的な自動車をスムーズに日本市場に投入できるように実施している、安全と基準の調和に関する活動についてご説明します。
まず、安全・環境性能を確保した輸入車を日本の消費者へ追加コスト等をかけずに提供していくため、関係当局とともに、国際的な基準の整合、さらに認証制度について国連の1958年協定に基づく相互承認制度が活用できるよう長年活動して参りました。この結果、車両全体の国際的な車両型式認証制度であるIWVTAが2018年に成立しています。
その後もIWVTAは、排ガス・燃費・電費に係るUN-R154が追加される等、年々拡充され、乗用車に関する主要な安全・環境関係装置の型式認定を包含する形のIWVTAの取得ができるようになりました。JAIAでは引き続き、JASIC活動等を通じて、車両法規の国際的な調和がより一層推進され、より完成された利用価値の高いIWVTAがより早く実現するべく活動して参ります。
また、その他個別装置に係る基準についても、DCAS、つまり、車両の前後左右の挙動についてドライバーを支援するシステムに関するUN-R171が9月には発効予定となっております。日本の独自基準である駐車中のアンサーバック灯火等の要件をJAIAから要望し、国際基準として盛り込んだ灯火の取付け要件法規であるUN-R4-09についても、同様に9月に発効予定となるなど、車両基準の国際調和が年々着実に進んでおり、JAIAとしてこのような動きを歓迎しております。JAIAは、引き続き、残された日本の独自要件が国際調和等により解消されるべく活動して参ります。
さらに、車両の基準適合性確認に係る認証手続きにつきましては、昨年11月にJAIAよりIWVTAの申請手続きを基本とする車両認証の申請手続きの一層の合理化・効率化を国土交通省へ要望したところです。JAIAとしては、輸入車両の安全・環境保護性能を担保しながら、さらなる手続きの合理化が進むことを期待しているところです。国土交通省と引き続き議論を重ねながら、JAIAとしては、法令を遵守しつつ、必要な合理化・効率化が実現するよう活動して参る所存です。
その他、近年のトレンドであるコネクテッドカー等の車両安全確保のために、車載システムのサイバーセキュリティ/ソフトウエア・アップデートに係る新たな規制に対しても、適宜、本国OEMや国土交通省とも連携しながら、メンバーが適切に対応できるように活動して参ります。
また、JAIAは通信分野において、専門のワーキンググループを立ち上げて議論を進めており、周波数や通信方式などについて、関係機関と協議を進めてまいります。
自動運転のさらなる進展に向けた技術動向は非常に重要であると考えており、JAIAはモビリティDX検討会などの情報収集を継続いたします。政府から5月にモビリティDX戦略が公表されましたが、この秋に立ち上がるモビリティDXプラットフォームなどの動きについても注目してまいります。このような取組みを進めながら、JAIA会員各社が製品を通じて、お客様により高い安全性と利便性を提供できるよう貢献して参ります。
自動車公正取引に関しては、JAIAは自動車公正取引協議会の作業部会に積極的に参加し、JAIA会員への自動車公正競争規約の周知徹底及び、公正な取引の確保を目指した活動を引き続き進めて参ります。
アフターセールス分野においては、輸入された型式指定車等について2025年10月以降順次適用が予定されている車載式故障診断システムを活用した電子的な車両検査制度、いわゆるOBD検査制度への対応に向けた準備、さらには法令を遵守したリコール関連手続きの実施等、メンバー各社が適切に対応できるよう対処して参ります。
また、年初にも申し上げましたが、自動車関連業界の共通の課題として整備人材の不足が喫緊の課題となっております。JAIAとしても、自動車整備人材関連情報連絡会を設置し、課題克服に向けて各種情報の共有や会員各社と具体的な活動を続けております。
たとえば、JAIAが昨年、会員企業の販売店向けに行った調査では、外国人採用の実績がある、あるいは今後採用の見込みがあるといった回答がすでに全体の約6割でしたが、その後、連絡会での活動を契機として新たに外国人採用に関する動きが出ているという会員の声もあります。また、自動車整備学校の関係者の方々と意見交換をしていますと、留学生の割合が高くなっており、また、留学生のためのコースを設けている学校も徐々に増えてきております。このような分野を含め、JAIAとしては会員の販売店における整備人材不足の問題に向けた対応を、会員を通して支援して参ります。
2024年上半期の輸入小型二輪車の新規登録台数は、13,930台で前年同期の13,925台と比べ0.04%増加し、5期連続の増加となりました。コロナ後の新しいライフスタイルが二輪車の新規登録台数の増加に貢献しているものと考えています。また、中型自動二輪免許でも乗ることのできる新型車が登場するなど、多種・多様かつ個性的な輸入二輪車に目を向けて頂いたからだと考えています。
さて、二輪活動の大きな柱の一つは「市場活性化のための活動」です。その一つとして今年4月10日・11日に大磯ロングビーチで輸入二輪車試乗会を開催いたしました。安全対策を徹底し、大きな事故などもなく盛況に実施することができました。47媒体、のべ153名の報道関係者にご来場を賜りました。
また、4月5日から7日の3日間、愛知県国際展示場にて第3回名古屋モーターサイクルショーが開催され、JAIA二輪会員も9社出展しました。前回と同様、高校生以下と女性の方の入場を無料とするなど、若者と家族連れのさらなる来場促進策などもとられました。
JAIA事務局が参加予定の9月27日に宮崎市にて開催される、「第12回 BIKE LOVE FORUM in 南国みやざき」ではモーターサイクルの将来について政府・業界等関係者との議論が行われる予定で、環境整備の実現のさらなる進展にも期待しています。
連日になりますが、9月28日、29日の2日間、名古屋の栄駅エリアにて一般来場者を対象とした市場活性化策としての車両展示イベントを行います。JAIA二輪事業として単独で開催する一般来場者を対象としたイベントは、2014年に実施した「インポートバイクショー in 浜松」以来、10年振りの開催となります。会場となるオアシス21は、交通のアクセスも良く、魅力的な立体型公園で、地元の人にも親しまれている、にぎやかな場所です。多くのご来場者に「輸入二輪車の魅力」をご体感いただけると考えています。
JAIAは、二輪車について高速道路料金の独立化や二輪駐車場の拡充、また二輪免許制度の見直しを要望しています。バイク・ラブ・フォーラム等を軸として他団体と連携しながら、政府・各政党のオートバイ関連のプロジェクトチーム検討会の場などにおいて、高速道路料金区分の独立化と料金適正化に向けた要望活動を実施致しました。この結果、NEXCO東日本などの道路事業者により、土日・祝日に高速道路を利用するETCを装着した二輪車を対象に、料金を定率で割り引く「二輪車定率割引」が、2024年も実施されています。
二輪活動のもう一つの柱である「規制の国際調和を図るための活動」に関しましては、継続して会員各社のサポートを行います。
JAIAは今後もさらに輸入モーターサイクル普及と国内二輪市場の活性化に取り組んでまいります。
賛助会員制度は、会員間では解決できない問題、課題等を関連企業等と共有する事により、課題解決に向けた相互間の協力を図ることを目的としております。
現在会員共通の課題として認識しております充電インフラ、バッテリー・リサイクル、整備人材関連の3分野より賛助会員を募集したところ、7月に、充電インフラ事業者のABB株式会社様、ベルエナジー株式会社様、株式会社 e-Mobility Power様、株式会社エネゲート様、日東工業株式会社様、株式会社プラゴ様、株式会社パワーエックス様、株式会社東光高岳様、Terra Charge株式会社様、ユビ電株式会社様、バッテリー・リサイクル事業者のDOWAエコシステム株式会社様、オオノ開發株式会社様、の合計12社に申し込んでいただいています。
ご関心をお持ちの事業者様もまだまだいらっしゃるので、引き続き、この三分野の事業者の方々が、より多く賛助会員になっていただけることを期待しています。
JAIA会員各社は引き続き、環境・安全性能に優れた魅力ある輸入車のご提供を続けると共に、JAIAは日本政府や自動車産業及び販売市場に関わる全ての組織と協力して、ユーザー負担を軽減するとともにカーボンニュートラル社会の実現に貢献して参ります。