日本自動車輸入組合(JAIA)は2018年1月30日(木)、理事長会見を実施しました。
基調スピーチの内容は以下の通りです。
日本の自動車市場全体は、2016年の自動車燃費不正問題から軽自動車が回復したことなどにより、対2016年比でプラスを記録しました。10月以降は一部自動車メーカーの無資格者による完成検査不正問題の影響があったものの、年間を通じては2015年以来2年ぶりに500万台を回復し、前年比5.3%増となりました。
昨年の輸入車市場を振り返りますと、JAIAメンバー各社による電気自動車(BEV)プラグインハイブリッド車(PHEV)、クリーンディーゼル車(CDV)、等の次世代車の積極的な投入や先進安全技術、コネクティッド技術等を装備したSUVなどの新型車により、年初から好調な販売水準を維持しました。
昨秋には東京モーターショー(TMS)が開催され、海外および国内の自動車メーカー各社より最新モデルの発表が行われました。TMSには国内外より約77万人が来場し、特に15歳から39歳のより若い年齢層の来場者が半数以上を占め、また全来場者の4人に1人が女性となるなど、成功裏に終了しました。
以上の結果、一年間を通じた2017年の輸入車の販売は、351,020台となり、前年比で2.1%増と前年実績を上回り、台数としては過去4番目の高水準でありました。
また、そのうち外国メーカー車の販売は、306,088台となり、前年比で3.7%増と2年連続で前年実績を上回り、年間総販売台数としては過去2番目の高水準、そして1997年以来20年ぶりの30万台超えを記録しました。
昨年の販売増の主因の一つであった外国メーカー車の次世代車のパワートレイン別の内訳をご紹介すると、電気自動車が対2016年比176.5%増、プラグインハイブリッド乗用車が対2016年比11.7%増、クリーンディーゼル乗用車の販売は、対前年比31.4%増、と顕著な増加を記録し、クリーンディーゼル車は外国メーカー車の年間総販売台数の2割を超えるシェアとなりました。
しかしながら、乗用車全体の年間総販売台数(4,386,377台)に占める外国メーカー乗用車の年間総販売台数のシェアは7.0%(前年は7.1%)であり、諸外国におけるシェアと比較すると、依然として相対的に小さいパーセンテージでした。
本2018年においても、JAIAメンバー各社は、パワートレインの多様化・高度化の進展や幅広い先進安全技術、最先端のコネクティッド技術、ハイレベルな自動運転技術を搭載した新型車の更なる導入拡大を計画しておりますので、「2018年の輸入車市場展望」としては、着実に成長するものと期待されます。
JAIA会員個社の各ブランド輸入車の販売促進は個々の会員各社の活動である一方、JAIAでは、税制改正要望等の公正な市場条件を確保するための輸入車業界活動を更に実施するとともに、JAIA会員をサポートするためにJAIA合同試乗会を継続して開催する予定です。
税制改正については、自由民主党の税制調査会により自動車保有者の税負担を軽減する総合的検討が行われる予定ですが、日本の経済成長と自動車市場の持続的発展にとって、この総合的検討の結論が極めて重要であるとJAIAは確信しています。
2019年10月に消費税10%への引き上げが予定されておりますが、この時に自動車保有者の税負担軽減が実現しなければ、日本の経済成長と自動車市場の発展が持続的なものとして継続することは期待できません。消費税引き上げ前の「一時的駆け込み需要増と反動減」が繰り返されるだけで、日本の持続的経済成長と自動車市場の持続的発展は「見果てぬ夢」となってしまうことを懸念します。
JAIAとしては、本年を通じて、真に自動車保有者のための税の負担軽減化・簡素化を公平な形で実現することを求めて、JAMA、JADA等他の自動車関連団体と連携しつつ、次の2点を重点とする税制改正要望活動を展開していく計画です。
第1は、自動車税の税率の抜本的な引下げです。現在、登録車に対する自動車税の水準は軽自動車税の水準より約2.7倍も高く、極めて不公平です。自動車税の税率を軽自動車税と同程度の水準へ引き下げることにより格差是正を実現することは喫緊の課題であり、欧米各国からの一致した要望です。
第2は、すでに課税根拠を失っている「自動車重量税」の廃止または暫定税率廃止の要望です。
第38回JAIA合同試乗会には、JAIA会員16社が、長年自動車文化が発達してきた欧米から77台の幅広い最新モデルの車両を提供します。電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)はもちろん、多様なライフスタイルやお客様のニーズに合った、SUVやクロスオーバーの最新モデルが揃います。
Night vision、Parking assist function、およびRear collision warning systemといった幅広い先進安全装置に加え、 AEBS、LKA、全車速ACC、LKA、LDW、先進ライトや自動シートベルト装置が披露されます。24時間緊急通報といった最先端のコネクティッド技術やハイレベルの自動運転技術も紹介されます。このことが的確に示すように、JAIAメンバー各社は、優れた環境性能と運転性能に加え、安全性と快適性の為の様々な革新的な技術を搭載したモデルを今後も提供することを、強調したいと思います。
2017年11月に、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で、IWVTAの手続きを定めたUN規則R0が採択されました。UNR0の発効により、部分的ではありますが、乗用車については国際的な車両型式認証の相互承認制度が実施されることとなります。JAIAは、国土交通省他関係者のご尽力に感謝いたします。今後、IWVTA Phase2として、より広範な技術・装置を対象とするIWVTAに向けた議論が行われることになりますので、JAIAも今後のより広範なIWVTAの実現を目指す活動に積極的に貢献してまいります。
IWVTAの相互承認制度作りのこれまでの過程で、多くの基準の国際調和が実現しましたが、日本独自の基準や認証制度が未だ存在します。今後も、乗用車はもちろん、重量車等他のカテゴリーの車両についても、基準及び認証制度の見直し、国際調和が進展することを強く期待しております。
基準及び認証制度の国際調和や合理化が強く望まれる分野のひとつが、排出ガス関連の分野です。
PHPと呼ばれる輸入自動車特別取扱制度では、自動車の環境性能の品質の確認を行うため、型式ごとに一定の抜き取り比率で排出ガス及び騒音試験を行うよう定められています。日本政府は、2017年の11月6日に、PHPの排出ガス及び騒音試験に関する手続きを合理化することを公表したことを、JAIAは歓迎いたします。今後、JAIAは、この合理化が早期に実施されることを期待します。
また、JAIAは、日本の排気・燃費測定方法が、国際的に調和され、2018年10月以降、World Light Vehicle Test Procedure(WLTP)の適用が開始されることを歓迎しています。今後、JAIAは、この試験法の国際調和を受け、日本市場への導入モデルの拡大や最新技術の早期導入を通じて、日本の持続的モビリティへのさらなる貢献に努めてまいります。
2022年10月から日本で導入されるディーゼル乗用車の実路走行試験(RDE)規制は、日本に先駆けて2017年9月から導入された欧州のRDE規制をベースに作られているところ、JAIAとしては、規制がインポーターの過重な負担とならぬよう、引き続き国土交通省と協議を行ってまいります。
燃費については、本年「ポスト2020年度燃費基準」の検討が経済産業省と国土交通省の合同部会で開始される予定であるところ、JAIAとしては、ポスト2020年度燃費基準が、技術開発や消費者受容性の観点から、合理的でバランスのとれ且つ輸入車・国産車に公平な基準として策定されるよう、積極的に検討に参加し適時に意見を表明していく計画です。
新たなポスト2020年度燃費基準策定の際には、将来の燃費向上の技術開発の動向や、電動化も含めたパワートレイン多様化・高度化の動向、更にそれらに対する消費者の受容性など、幅広い視点での検討が重要であると考えています。
また、EVやPHEVなど低炭素・省エネルギー自動車の普及・拡大のためには、インフラ整備や合理的かつ公平な基準に基づく消費者へのインセンティブなどの政府による支援の継続が必要であると考えています。
先ず、モーターサイクル関連基準・規制の国際調和を図る活動については、日本にはDaytime Running Lamps(DRL)規制が残っておりましたが、昨年6月に日本政府から改正案が国連に提案され、本改正案は、国際的に合意された後、日本国内でも実施されることとなる見通しです。今後、JAIAは、モーターサイクル関連基準・規制の国際調和を図る活動を更に推進してまいります。
次に、モーターサイクル市場再活性化のための活動については、 JAIAは、2015年以降毎年JAIA輸入モーターサイクル試乗会を開催してきており、昨年4月に開催された第3回JAIA輸入モーターサイクル試乗会では、JAIAモーターサイクル会員の全10社がモーターサイクル100台を提供しました。71のメディアに参加を頂いたお蔭で、「輸入モーターサイクルの魅力」を幅広く発信することが出来ました。
今年4月4~5日には、大磯プリンスホテル・ロングビーチにて第4回JAIA輸入モーターサイクル試乗会を開催予定です。第4回試乗会も多様な最新モデルに試乗頂くことが出来る良い機会となるよう現在準備中です。
更に、JAIAは、日本のモーターサイクル市場活性化を目的に2012年に始まったBike Love Forum(BLF)にも継続して参加してきております。
今年は、8月上旬の金曜に岩手県一関市で第6回Bike Love Forum(BLF)を開催し、その週末に2011年3月11日の東日本大震災被災地域でオートバイに乗る楽しさを満喫頂ける企画を、JAIA,JAMA等モーターサイクル関連組織が現在準備中ですので、ご期待下さい。
結びになりますが、本年も、JAIAは、より多くの日本のお客様へ、世界各国で生産される先進的な安全技術・最先端のコネクティッド技術・自動運転技術を搭載した自動車とモーターサイクルをJAIAメンバーがお届け出来るように、一層努力してまいります。また、JAIAは、ACEA、JAMAなど国内外の自動車関連団体と協力して、公正かつ自由な市場条件を形成するための活動を更に推進してまいります。私どもは、日本政府および関係機関と共に日本の自動車市場の持続可能な発展への更なる貢献を目指します。