理事長会見(2019年1月21日)

理事長会見 2019年1月21日

日本自動車輸入組合(JAIA)は2019年1月21日(月)、理事長会見を実施しました。
基調スピーチの内容は以下の通りです。

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上野金太郎 理事長

1.はじめに

JAIAを代表して、昨年6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、更に9月の台風21号および北海道胆振東部地震により被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。本年には復興の為の取り組みが一層進みますよう心より期待致します。

2019年は、世界の自動車産業の新しいトレンドと戦略を象徴するキーワードである「CASE」が提示されて3年目となりますが、「CASE」:すなわち、「コネクテッド(Connected)」、「自動運転(Autonomous)」、「シェアリング(Shared & Services)」、「電動化(Electric)」がグローバルに加速すると見ております。日本でも、この「従来のクルマの存在意義を拡張するグローバルな潮流」に沿って、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、「すべての人々にとって安全・快適で持続可能なモビリティ」の実現を目指すCASEの取り組みが着実に進展すると見ております。

また、本年以降の国際的な注目点として、昨年末のCOP24において地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めた「パリ協定」の実施ガイドラインが合意されたことがあげられ、2020年からの実施に向けて、全てのセクターにおいて、様々な準備が進められていくこととなります。

自動車産業界においては、今後策定されるポスト2020年度燃費基準達成に向けて取り組んでいくこととなります。

一方、日本国内の今年の注目点は、税制の面で、10月1日から消費税の10%への引き上げが予定されていることであります。JAIAといたしましては、昨年末に決定された「与党税制改正大綱」の中に盛り込まれた「自動車税の恒久減税」や「需要平準化のための税制措置」が、国内自動車販売への悪影響の回避に繋がるよう注意深く実施されることを期待しております。同時に、JAIA会員各社は、様々なニーズに応えて、最先端の技術・システムを備え、新しい価値を持つクルマとモーターサイクルを全国各地のお客様にお届けできますよう、「お客様ファースト」で全力を傾注して参ります。

2.2018年の輸入車の新車販売実績

2018年の外国メーカー四輪車の販売実績を振り返りますと、309,405台となり、2年連続で年間販売台数が30万台超えを達成しました。対前年比では1.1%増と、過去2番目の高水準であった2017の実績を上回り史上2番目の高い実績を達成致しました。また、日本メーカー車を含めた輸入車全体でも、366,266台、対前年比4.3%増と好調な実績となりました。

さらに、外国メーカー乗用車のみの台数では、308,389台と過去最高の台数を記録致しました。しかしながら、2018年の「軽自動車を含む乗用車全体の年間販売台数」に占める「外国メーカー乗用車」のシェアは7.0%であり、諸外国におけるシェアと比較すると、依然として相対的に小さいものでした。

2年連続で外国メーカー車が30万台を超えた背景には、JAIA会員各社が、24時間緊急通報やスマートフォンで車両を操作するリモートドアロック、リモート駐車支援、オペレーターとの通話によるドライバーサポートサービスなどのコネクテッド技術を積極的に投入したこと、また、車線変更アシスト機能、衝突回避ステアリング機能、ナイトビジョンなど幅広い先進安全技術を搭載した新型車を多数導入したこと、更にプラグインハイブリッド、電気自動車、ハイブリッド、クリーンディーゼルといった、輸入車の特徴である様々なパワートレインのクルマをさらに導入したことであります。加えて、SUVをはじめ、お客様の多様なライフスタイル・ニーズに応える幅広いラインナップの拡充を進めたこともございます。

3.2019年の輸入車の新車販売展望

2019年の輸入車販売の展望については、まず市場環境条件の面で、10月からの消費税引き上げの際に、「駆け込み反動減」を繰り返すことのないよう、政府が自動車税の恒久減税、需要平準化対策を適切に実施し、効果を上げて頂くことを期待致します。

JAIA会員各社としては、昨年以上に積極的な新型車の投入や、プラグインハイブリッド、電気自動車などの一層の電動化を進め、加えて、お客様の多様なライフスタイル・ニーズに応える幅広いラインナップの更なる拡充を推進する計画ですので、2019年の輸入車の販売見通しに関しては、市場条件は注視を要するものの、明るい展望を切り開けるものと考えております。

4.JAIAの主要活動計画

JAIAは、本年も「市場活性化のための活動」および「安全・環境関連基準などの国際調和を図る活動」を2本柱として取り組んで参ります。

4.1 市場活性化のための活動

市場活性化のための第一の活動は、自動車市場の重要な環境条件である税制改正を求める要望活動です。

JAIAは、これまで長年にわたり、ユーザーのための税負担の軽減・簡素化・公平化を求める要望活動を、自動車関係諸団体と連携して、継続して参りました。

このユーザーの為の税制改正要望に応じて、昨年末に決定された「与党税制改正大綱」の中に、全ての排気量の自家用乗用車に対する自動車税の恒久減税が盛り込まれました。また、本年10月から1年間「環境性能割」の税率を1%縮減する措置も盛り込まれました。

2019年度について、自動車税の恒久減税、需要平準化対策を、政府がユーザーの皆様へ周知徹底頂くよう、JAIAは期待致します。2020年度以降について、JAIAは、自動車ユーザーのために、税負担の一層の軽減、税制の更なる簡素化・公平化が実現出来るよう、他の関係諸団体とも協力し、努力して参ります。

JAIAと致しましては、会員各社が販売するクルマの貴重な価値をお客様に一層ご支持頂けますよう、全力を尽くして参ります。

次に、市場活性化のための第二の活動について、本年は、2年に一度のモーターショーの開催年です。東京では10月下旬から、第46回東京モーターショー2019が開催予定であり、JAIAは、共催団体として参画して参ります。また、大阪、名古屋等の地域モーターショーも開催予定です。

JAIA会員各社は、モーターショー、輸入車フェアなどの機会に、全国各地のお客様に最新の魅力ある輸入車と輸入モーターサイクルをご体感いただけるよう取り組んでいく予定ですので、JAIAはその取り組みをさらにサポートして参ります。

4.2 環境・技術分野の活動

JAIAは、2本目の柱として、世界で日々開発導入される最先端の輸入車を日本のお客様へ一日でも早くお届けできるように、環境・安全関連の基準などの国際調和を図る活動を推進して参ります。

「パリ協定」の実施開始にむけて、世界各国で地球温暖化対策の強化が進んでいます。日本政府は国内の自主的な対策として、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で26%削減する目標を策定しました。自動車に対しては、燃費の更なる向上のため、「省エネ法」に基づく乗用車の「ポスト2020年度燃費基準」について、昨年3月以来検討中であり、本年3月までに新しい燃費基準値や目標年度等を策定することを目指しております。

JAIAとしては、「新たな燃費基準値や目標年度を策定する際には、自動車がグローバル商品であることから、国際的な動向を十分考慮し、また、将来の燃費向上のための技術開発の動向や、電動化も含めたパワートレインの多様化・高度化の動向、更にこれらに対する消費者の受容性など、総合的視点での検討が肝要である」と考えています。

JAIAは、ポスト2020年度燃費基準が、輸入車・国産車に公平かつ合理的な基準として策定されるよう、積極的に検討に参画し、同時に電動化促進のために欠かせないインフラの拡充や消費者へのインセンティブの付与などの政府による市場環境の整備を引続き求めて参る方針です。

JAIA会員各社は、グローバルな電動化の潮流や日本のお客様のニーズに応えて、電気自動車やプラグインハイブリッドなど低炭素自動車の市場投入を更に推進して参ります。これと同時に、CO2削減効果の高い最新技術を搭載した既存の内燃機関の性能向上も重要であると考え、環境性能に優れたハイブリッド車、ガソリン車やクリーンディーゼル車の導入も引き続き進めて参ります。
 
現在、輸入車においては衝突被害軽減ブレーキや車間距離制御・車線逸脱制御装備の拡大や高機能前照灯などの予防安全技術に加え、ドライバー異常時対応システムなどの将来の自動運転につながる、様々な先進安全技術・機能の拡充が進んでおります。

政府は2020年までに、「高速道路でのレベル3の自動運転」、および「限定された一部の地域でのレベル4の自動運転」の実現を目指して取り組んでおり、昨年、「自動運転の制度整備大綱」を策定し、現在、自動運転等先進技術に対応した自動車の安全確保の制度の枠組みを取りまとめているところです。

JAIAは、海外の優れた自動運転に関する先進技術を導入していくために、国際調和や様々な新技術実用化を考慮した制度整備と車両法規の柔軟な運用が肝要と考えており、自動運転技術が円滑に導入されるよう、積極的に活動を行って参ります。

また、JAIAは、政府の「戦略的イノベーション創造プログラムの自動走行システム」:SIP-adusとの緊密な協力関係を構築し、第1期大規模実証実験への輸入車の参加をサポートして参りました。

第2期SIP-adusにおいても、2020年東京オリンピック・パラリンピックの機会も活用して、2019年後半から2022年度末にかけて実施される予定の実証実験について、会員インポーターの参加をサポートして参ります。JAIAは、自動運転の実現に向け、本年以降もSIP-adusの取組みに積極的に協力して参ります。

更に、国際基準調和に向けては、既に国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で国際的な相互認証制度であるIWVTA(国際的な車両認証制度)の手続きを定めたUN規則R0が採択され、昨年7月に施行されました。JAIAはこれまでの国土交通省ほか関係者のご尽力に感謝致します。また、現在、究極のIWVTAに向けたフェーズ2の取組みが始まっております。JAIAは残された課題である排出ガスや重量車等の日本独自基準、型式指定制度の国際的な調和に向けて積極的に貢献して参ります。国際的な基準調和の導入は輸入手続きを容易にし、ユーザーにとっては負担が軽減されることになります。JAIAは今後とも完全なIWVTAの実現をめざし、日本政府や内外の関係団体とも連携し、積極的に貢献して参ります。

4.3 輸入モーターサイクル活動

JAIAの輸入モーターサイクル活動も、「安全・環境関連の基準などの国際調和を図るための活動」と「市場活性化のための活動」を、両輪として、更に推進して参ります。

先ず、JAIAは、灯火器(lamps)・騒音・排出ガス関連の将来の規制については、さらなる国際調和の実現を目指して、さらに活動して参ります。近く期待される国際調和の例として、本年6月の国連WP29会合で、「モーターサイクル灯火器取り付け基準の改正案」が採択される見通しが立っております。JAIAはこの改正国連基準の日本での適用開始について注視して参ります。

また、同時にJAIAは、市場活性化のための活動を一層精力的に推進して参ります。

来る4月3日と4日の両日、第5回JAIAモーターサイクル試乗会を大磯にて開催する予定です。メディアの皆様へは、多種多様な最新モデルをご体験頂ける有意義な機会を提供できますよう実施計画を準備中です。実施計画が確定次第ご案内致しますので、是非ご来場頂ければ幸いです。

更に、JAIAは、今年秋開催予定の第7回Bike Love Forum(BLF)にも積極的に参加して参ります。

5.結びに

本年も、JAIAの四輪・モーターサイクル全会員は、さらに、先進安全・環境技術を備えた様々な魅力ある輸入車を全国各地のお客様へお届けすることを強調させて頂きます。そして、日本の安全で持続可能なモビリティの発展に、関係省庁・諸団体と連携しつつ、さらに貢献して参ります。