昨年は台風19号などの災害に見舞われ、防災の大切さを痛切に感じた1年でした。犠牲となられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げますと共に、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。そして、被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、本年は、いよいよ2020年代の幕開けの年となりますが、自動車産業にとっては、CASEの潮流が一層加速する年になると見ております。
世界各国において、自動運転が一層レベルアップするとともに、IoTが進展する中、自動車セクターでもコネクテッド技術が普及していくことが見込まれます。更に、国連の場などで自動運転関係の国際基準づくりが、進捗していくものと見ております。日本でも、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、レベル3の自動運転を可能とするための法令などが整備される予定で、さまざまな実証実験も行われます。JAIAとしては、自動運転関係の国際基準づくりと日本での制度づくりを、調和のとれた形で推進することが極めて重要と考えております。
また、パリ協定に基づき、日本・EUなどの国々や様々な地方自治体・企業などが、温室効果ガスを削減する目標を定め、既にその実現のための取組みを開始しておりますが、本年は、これらの取り組みが強化されると見込まれます。自動車分野でも、EUは昨年春に、野心的な2030年乗用車CO2削減目標を決定しました。日本でも、同様に昨年6月、野心的な2030年度乗用車燃費基準を策定しました。この様に世界各国で「電動化」への要請が高まっていることを踏まえ、JAIAとしては電動車を普及するための活動を、充電インフラの整備などで重要な役割を果たす政府と協力しつつ、更に推進してまいります。
2019年の外国メーカー四輪車の販売実績は、299,439台となり、若干30万台には届きませんでしたが、史上5番目の高水準でした。 また、日本メーカー車を含む輸入車全体の年間実績も、348,316台の高水準となりました。
月別に、昨年の外国メーカー四輪車の販売実績を見ますと、10月には大型台風が輸入車販売へも影響したものの、一年間を通して見れば、概ね堅調に推移いたしました。
昨年の外国メーカー四輪車市場がおおむね堅調に推移した主な理由につきましては、JAIA会員各社が、1年を通じて、先進的な安全・環境技術を搭載した新型車を投入し、各種パワートレインのラインナップを拡大すると共に、お客様の多様なライフスタイル・ニーズに応えて幅広い車種を更にご提供した結果であると見ております。
本年も、JAIA会員各社は、最先端の幅広い安全・環境技術を備えたニューモデルを、一層積極的に市場投入してまいります。また、JAIA会員各社は、“5G”のサービス開始が目前に迫る中、お客様の求めるインテリジェント化への期待に応えて、AI技術や、コネクテッド技術を搭載したモデルも拡大する計画です。更に、電気自動車やハイブリッド車の導入により一層の電動化を進めると共にSUV・クロスオーバーなどの豊富な車種のラインアップを拡充する計画です。加えて、JAIA会員によるファイナンス面での各種購入サポートプログラムや政府によるインセンティブも、お客様が選択肢を拡大する為の支えとなると見込んでおります。
以上申し述べましたプラス要因を勘案いたしますと、本年の外国メーカー四輪車新規販売は、「30万台超え以上」と見通しております。
まず、JAIAは、自動車市場の一層の活性化を目指して、ユーザーの皆様のために、更に、税負担の軽減と税制の簡素化・公平化を求める税制改正要望活動を推進していく計画です。 また、公平な市場条件を確保するために、自動車公正取引協議会などの関連会合に積極的に参加してまいります。
第一に、電動化推進のための活動計画です。地球温暖化問題は自動車産業にとっても大きなチャレンジです。 昨年策定された、野心的な我が国の2030年度乗用車燃費基準を達成するためには、2020年度基準に比べて、各社はそれぞれ、平均燃費ベースで44.3%の改善が義務づけられることとなりました。 JAIA会員各社はこのチャレンジをチャンスととらえ、今まで以上に電動車(BEV・PHEV・FCV)やハイブリッド車などの環境性能に優れ、また、高効率でCO2排出削減を可能とする先端技術を搭載した様々な「クリーン・エネルギー車」のラインナップを着実に拡大する計画です。この様な私ども会員各社の積極的な取組みに加えて、野心的な2030年度乗用車燃費基準の目標を達成するためには、政府が、充電インフラ整備などの面で政策的支援を強化するとともに、欧州・米国で既に導入されているオフサイクルクレジットなどの制度的支援を強化することが必要であります。
第二に、自動運転のレベルアップに関するJAIAの活動計画です。
日本政府により、高速道路でのレベル3の自動運転や地域限定のレベル4の自動運転が実現できるよう、昨年5月に道路交通法、道路運送車両法が改正されました。今年夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催前に、具体的な関係規則を整備していく予定です。 JAIAは国土交通省との間で、日本の新しい法令が国際規則に調和したものとなることが不可欠であるとの点を既に確認しております。引き続き、国土交通省に対して、今年夏までに自動運行装置や認証方法などに関する具体的な要件・基準を整備していく際には、「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」での議論に沿って、国際的に調和された要件・基準とするよう確認して参ります。 また本年も、産学官連携のSIP-adusが、自動走行システムの実証実験の第2フェーズを継続実施いたしますが、JAIAのメンバーも、自動運転の社会的受容性の醸成を図るこの実証実験に参加してまいります。 以上のようにJAIAは、自動運転のレベルアップに果敢に取り組み、自動運転の究極目標のひとつである「Zero Accident」の実現に更に貢献して参ります。
ここ数年日本では、高齢ドライバーによる交通事故が深刻な社会問題となっておりますが、JAIAは「つねに安全はすべてに優先すべき」と確信しております。JAIA会員各社は、本年さらに積極的に、高齢ドライバーを含むすべてのユーザーのために幅広い先進安全技術や機能を備えた様々なモデルを、新たに導入される「サポカー補助金」も活用しつつ、より多くのお客様に提供していく計画です。また、JAIAは、総合的な高齢ドライバーの交通安全対策についても、警察庁など関係省庁と協力を深めて参ります。
ここで改めまして、2020年代はボーダーレス化の更なる進展が予想されておりますので、自動車関連の規則・制度の国際調和が不可欠であることを強調させていただきます。 たとえば、いよいよ本年1月22日に、乗用車の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)に関する国連規則が発効し、日本ではAEBS搭載の義務化の時期を決定する手続きを進めております。平行して、EUは、昨年12月に、「新しい一般車両安全規則(GSR)」の中でAEBSの義務化の予定時期を明らかにしました。日本での義務化の内容はもちろん義務化の時期も国際的に調和したタイミングとする事が極めて重要であることを再確認させて頂きたいと思います。
また、日本の独自基準の数も、長年にわたり規則・基準の国際調和が進捗してきた結果、減少してきておりますが、JAIAは「完全なIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)」の実現を目指して、関係省庁・諸機関と協力しつつ、一層精力的に活動する計画です。
JAIAは、本年も「市場活性化を図る活動」と「安全・環境規制の国際調和を図る活動」を両輪とした各種活動を積極的に推進して参ります。
まず、本年第6回目を迎えるJAIA輸入モーターサイクル試乗会を、今春4月2日と3日に開催する計画です。ご参加いただくメディアの皆様には、会員各社の最新モデルにご試乗頂き、「サムシング・ディファレントな輸入モーターサイクルの魅力」を体感頂ける大変良い機会となるよう、現在実施計画を鋭意準備中です。
また、2013年以来JAIAと関係団体が主催する「バイク・ラブ・フォーラム(BLF)」が開催されてきておりますが、今年は、秋に大阪府で、「第8 回バイク・ラブ・フォーラム(BLF)」が開催予定です。JAIAは第8 回にも積極的に参加いたします。
更に、今年の4月10日から12日までの3日間、史上初の「第1回名古屋モーターサイクルショー」が、愛知県国際展示場において、開催されます。JAIA会員は、モーターサイクルの展示と試乗会に参加する予定です。この「第1回名古屋モーターサイクルショー」は、様々な世代の多くのライダーの皆様に「多様な輸入モーターサイクルの魅力」をご体験頂ける絶好の機会ですので、どうぞお見逃しの無いように。
加えて、JAIAは、モーターサイクルの灯火器や騒音・排出ガス関連の規制についても、さらなる国際調和が実現するよう、活動を強化して参ります。
結びに、JAIAの全会員は、2020年代の幕開けとなる本年、CASEに象徴される歴史的大転換期をチャンスと捉えて、全国各地のお客様に、最先端の安全技術やコネクテッド技術を搭載し、環境にも優しい自動車と、様々な魅力あるモーターサイクルを、更にお届けできるよう励んで参ります。