2021年が皆様にとって健全で実りある年となりますよう、お祈り申し上げます。
昨年、政府より2050年カーボンニュートラルが提唱されたところですが、本年はその課題に向け、JAIAとしてより一層活動を促進していく年となります。JAIA会員各社はかねてより、EVを始めとした環境に優しい自動車の導入に積極的に取り組んでおり、政府の目標に大いに貢献していきたいと考えております。
また、本年は東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されております。一方で新型コロナウィルス感染は厳しい状況にあり、この状況を皆で克服する為に我々自動車産業界を含め、多くの方々が絶え間ない多大な努力を続けております。
JAIA会員各社はオンラインによる販売活動のデジタル化や「自動車販売業における新型コロナウィルス感染予防対策ガイドライン」を徹底し、国や関係団体と緊密に連携してこの難局を乗り切っていきたいと考えておりますが、
政府には、引き続き国内自動車市場の回復に向けた経済的支援をお願い申し上げます。
2020年初旬の外国メーカー四輪車の販売実績は2019年後半からの減少傾向の影響が残ってはいたものの、徐々に回復の傾向が見えてきておりました。
しかし、新型コロナウィルス感染症の発生と感染拡大による影響が増大し、
3月下旬に政府による緊急事態宣言が発令されたことで、国内の自動車販売全体が大きく落ち込む中、外国メーカー四輪車の販売台数も5月を底に、かつてない程の大幅減少を記録しました。
6月からは、販売店へのお客様の来店状況も徐々に回復し、また、JAIA会員各社の新型車や限定車の導入効果もあり、輸入車販売は着実に回復して参りました。
また、10月~12月で見ますと、一部のブランドでは、単月販売台数の過去最高記録を更新するなど、大幅に改善し、結果として、2020年合計では前年比14.5%減の256,096台となりました。また、日本メーカー車を含めた輸入車全体でも、前年比8.7%減の317,933台となりました。
昨年の市場環境面では、消費者マインドに持ち直しの動きが見られ、販売店へのお客様の来店も堅調に回復しておりました。
また、2021年度自動車税制改正において、JAIAが要望してまいりました、エコカー減税及び環境性能割の臨時的特例措置の延長、各種補助金の継続や拡大、クリーンディーゼル車への激変緩和措置などが実現し、自動車関係諸税の大幅な増税が回避されたことに、政府への感謝を申し上げるとともに、これらがプラス要因として作用することを期待しております。
一方、登録車と軽自動車の税負担の格差も依然として2倍以上残るなど、更に抜本的な見直しを行う事が必要な状況です。
引き続きJAIAは、国際的に見ても過重な税負担の更なる軽減と税制の簡素化、公平化を求める要望活動を進めて参ります。
また、「2050年カーボンニュートラル」に向けた政府の宣言の動きを受けて、JAIA会員各社は今まで以上に環境性能に優れ、高効率でCO2排出削減を可能とする電気自動車を始めとする「次世代自動車」のラインナップを着実に拡大して参ります。
なお、今年は日本市場では未だ十分な認知がなされていない輸入EV・PHEVの認知を高める輸入車ブランドのフルラインナップイベントも開催を予定しております。
更に、昨年の外国メーカー車新車販売台数の約4割を占めた、SUV・クロスオーバーの人気は継続すると見ており、JAIA会員各社はこれら魅力的なモデルを多種多様に取り揃えて参ります。
従来より、JAIA会員は、インターネット販売を始めとした、オンラインを活用したお客様との対話に積極的に取り組んで参りました。都市近郊や地方への移住傾向の高まりや、「New Normal」と言われる新しい生活様式の中で、より安全な移動手段として、パーソナルモビリティが再評価されている今、一層その取り組みを加速して参ります。
緊急事態宣言の一刻も早い解除を願いつつ、以上のような取り組みにより、本年は本格的な回復の年として、コロナ前の販売台数にまで戻ることを期待しております。
JAIAの重要な役割であるユーザー負担を軽減する取組みとして、国際的に見ても過重な自動車関係諸税の負担の更なる軽減と税制の簡素化・公平化を求める要望活動を進めて参ります。
また、自動車公正取引協議会の作業部会に積極的に参加し、公正な取引の確保を目指した活動を引き続き進めて参ります。
昨年、2050年カーボンニュートラルの大方針が示された後、今月の総理の施政方針演説にて、2035年までに新車販売で電動車100%などを内容とする、グリーン社会の実現という方針が示されました。
また、海外でも欧州では昨年12月、2030年までに温室効果ガスを対1990年比で少なくとも55%削減することを政治合意したところであり、英国ではすでに2030年までに内燃機関自動車*¹の販売禁止を宣言し、ドイツでは新型コロナウィルス感染拡大に伴う経済対策を背景に補助金が増額され、同国の2020年の乗用車新規登録において、EVは前年比3.1倍、PHEVは前年比4.4倍となりました。
また米国でもバイデン大統領は全米50万か所に充電設備を設けてガソリン車からEV等への買換えを促すプログラムを計画、同国カリフォルニア州、ニューサム知事は2035年までに電気自動車などのZEV*²の100%義務付けの決定を行うなど自動車業界としての取組みは待ったなしの状況になっております。
JAIAメンバー各社はEV、PHEV、FCVなどのラインナップの拡大を行うとともに昨年度から、JAIA内に電動車普及に向けたプラットフォームを設立して活動してまいりました。外国メーカー車のEV・PHEV販売実績は、2019年、4,063台だったのが、昨年は6,612台と、拡大して参りました。
なお、昨年12月、政府の第3次補正予算において、再生可能エネルギー電力の利用等の一定条件のもとで、EV/PHEV購入補助金は国会審議を経て、増額される予定です。例えばEVでは従来の40万円から最大80万円へと倍増する措置もとられました。まずはJAIA要望を反映いただいたものとして、政府に対し御礼を申し上げます。JAIAは今年度も政府や関係団体と協力して、EV/PHEVの普及推進の活動をさらに拡大して参ります。
ただ、長期的なカーボンニュートラルの実現のためには、会員各社を含む企業の努力以外にも政府による再生可能エネルギー供給の飛躍的な増加、EV・PHEVなどへの車両購入補助支援の継続に加えて、充電インフラの拡大が不可欠であり、日本政府のイニシアチブに期待をしております。
JAIAは特に公共充電設備の拡充や集合住宅における充電器の設置がEV/PHEVの普及には非常に重要であると考えております。ご参考までに東京23区内における登録車に占める輸入車の割合は約25%、港区においては約50%となっております。JAIAは充電インフラの適正配置、特に都心部における充電施設の不足は喫緊の課題と捉えております。
なお、一昨年決定した2030年度燃費基準は、相当数の電動車等の導入を前提に策定されたものであり、中期的ベンチマークとしてまずはその達成に取り組んでいく所存です。その為にもEV/PHEVを広く普及させるため、会員各社はその商品性の向上を進めて参ります。
また、JAIAは、当該基準においてEV/PHEVの普及に向けた各種見直しについて、政府との対話を継続して参ります。
自動車業界が目指す究極の目標である事故ゼロの実現に向けて、開発が進んでいる自動運転技術は着実に前進しております。
自動運転・繋がる車の技術については、今月22日に国連の自動運行装置やサイバーセキュリティ、ソフトウエアアップデートの新法規が発効し、いよいよ実用化の段階になってきました。JAIA会員各社としても自動運転・繋がる車を今後タイムリーに市場に投入して参りたいと考えています。
自動運転関係法令はその重要な例ですが、JAIAは今後も日本に魅力ある輸入車をスムーズに導入するため、残された日本独自基準を解消すべく欧州自動車工業会、米国自動車政策協議会などとも協力の上、国際基準・認証調和に関する活動を継続し、究極の目標である車両全体としての完全な車両型式認可の相互認証(IWVTA)の実現に尽力して参ります。
また、アフターセールス分野においても、一昨年の道路運送車両法改正により導入が決まった先進安全装置等を対象とした電子的な車検制度等について、JAIA会員各社が日本国の法令を遵守し、適切に対応できるように活動して参ります。
一方、足元では、高齢運転者の悲惨な事故が相次いており、政府はその対策の一環として、昨年、対歩行者AEBSの義務化や65歳以上を対象としたサポカー補助金制度の導入を行いました。 JAIAは当該補助金制度が今般、延長される決定が行われたことはたいへん意義深いことと考えており、引き続き対象車両の拡大を行い、高齢ドライバーの安全対策に寄与して参ります。
また、同じく、高齢者等による事故対策として、2022年の施行が決定している限定免許制度のあり方についても政府において検討が行われています。 JAIAは輸入車の安全に対する考えや輸入車における安全運転支援技術の具体的機能をご紹介させて頂くなど、より有効な事故防止・軽減につながる制度となるよう、積極的に協力して参りました。JAIAは引き続き、関係当局と対話を続けることで事故の低減に努めて参ります。
JAIA二輪の活動は、「市場活性化のための活動」と「安全・環境技術基準の国際調和促進のための活動」という、2つの柱で成り立っております。
「市場活性化のための活動」については、メディア向け輸入二輪車試乗会を開催予定ですが、その他にもJAIAは他団体と連携して、政府・各政党のオートバイ関連の検討会等の場で、二輪車ユーザーの利用環境の改善に向け、「高速道路料金の引き下げ」「免許制度の合理化」「二輪車駐車場の整備と拡充」の3点の要望活動を行って参りました。
その一つである「高速道路料金の引き下げ」に関しては、2017年度より「二輪車ツーリングプラン」が開始され、2020年度も一部コロナ禍の影響はありましたが、実施されました。JAIAは引き続き、他団体と協力し各種要望活動を継続して参ります。
第二の柱である安全・環境技術基準の国際調和に関しては、2019年11月の国連WP29の会議で、二輪車灯火器取付基準UNR53が採択されると共に、昨年9月に日本の法規にも取り入れられ、DRL(デイタイムランニングランプ)の採用も可能となり、着実にJAIA活動の成果があがっております。
JAIAとしては、二輪の国際的な基準調和を目指し、今後も一層積極的な活動を継続して参ります。
JAIAは「引き続き日本政府や自動車関係団体と協力して、ユーザー負担を軽減し、環境・安全性能に優れた魅力ある商品のご提供を続け、新しいビジネスのあり方や新たな日常を創出することでこの難局を乗り切ってゆく」事への改めての決意を表明いたします。