インタビュートップ > Vol.4 ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル

ビー・エム・ダブリュー株式会社は、1981年に日本における欧州自動車メーカー初の全額出資子会社として設立。34年の歴史の中で低金利ローンや認定中古車制度など、さまざまな業界標準を築いてきた。数々の国でCEOを歴任し、昨年日本の代表取締役社長へと就任したペーター・クロンシュナーブル氏にこれからの日本市場における戦略について話を伺う。

モデルバリエーションが増えても、“駆けぬける歓び”の遺伝子は変わりません。

加藤 BMWジャパンはこれまでにも、例えば3シリーズの日本仕様車は一般的な立体駐車場に入庫できるようにドアハンドルを専用設計とし全幅を1800mmに狭めたり、i3の全高を1550mm以下におさめたりと、わざわざ日本市場にあわせた変更をされてきましたが、今後もそれを継続していく意志はおありですか?

クロンシュナーブル それはもちろん、続けていくつもりです。実は日本にはエンジニアリングの部署があります。製造工場がないにも関わらずエンジニアリングの部署がある国は日本だけです。BMW AGとしてもそれだけ日本市場は重要視しています。ですからわれわれは日本の国土交通省に求められる要件だけでなく、日本独自の開発部門をもつことでお客さまの要望にも応えていく。それはこれからも変わりません。ちなみにクリーン・ディーゼルの日本導入にはこの部門は大いに活躍しました。

加藤 なるほど。ところでBMWはグローバルで見ればプレミアムブランドの中でナンバー1の販売台数を誇っていると思いますが、残念ながら日本市場ではメルセデスに一位の座を譲っています。これを打ち破るために今後積極的に何か仕掛けていくおつもりでしょうか?

クロンシュナーブル ええ、プランはあります。1位の座を奪回するには、周到なプランが必要ですし、それをいま虎視眈々と進めています。われわれはグローバルでナンバー1なのですから、日本でも同様の結果が得られるはずです。ただそれには少し時間がかかります。われわれが必ず(ポールポジションの)ドライビングシートに戻ってくる。ですから、しばらくお待ちいただきたい。

加藤 最後に、これは販売台数に大きく関係することだと思いますが、BMW初のFF車である2シリーズのアクティブ ツアラーや、BMW iなどこれまでのBMWとはイメージの違う新シリーズの導入が相次いで登場していますが、ブランディングの維持や仕事としても領域が広がって大変じゃないでしょうか?

クロンシュナーブル そうですね、大変です(笑)。ただし、BMWのブランドイメージは常に同じです。すべての商品に共通するのは「Sheer Driving Pleasure(駆けぬける歓び)」であり、それがコアの価値でありDNAです。また現在のラインナップおよびこれから登場するモデルのすべてが「EfficientDynamics(エフィシェント・ダイナミクス)」に立脚して開発されています。これは、“よりクリーンに、よりパワーを”をモットーに、ダイナミズムを損なうことなく環境性能を高めると言う、相反する2つの思想を実現するものです。その思想のもとに、BMW iのような電気自動車やプラグインハイブリッドまたBMW Mのような非常にスポーティなモデルがラインナップされています。それぞれが左右のブックエンドのような役割を果たし、そのあいだにさまざまなシリーズが存在している、そんなイメージです。そして繰り返しになりますが、すべてのモデルに共通するのは「駆けぬける歓び」が表現されていることに他なりません。

加藤 そこはBMWとして一貫していると。なるほど良くわかりました。これからアクティブ ツアラーに続いて、FF車の第2弾となる2シリーズ グラン ツアラーも日本で発売されると聞いています。3列シートを備えたコンパクトMPVだそうですが、そういうモデルであってもきっとBMWらしい「駆けぬける歓び」が貫かれていることを期待します。

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インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤 哲也
1959年生まれ。東京都出身。大学卒業後はテレビ番組制作会社に勤務。1985年、出版社である二玄社へ転職。自動車専門誌『カーグラフィック』に配属される。2000年に編集長に就任。2007年には姉妹誌であった『NAVI』の編集長も歴任した。2010年に二玄社からカーグラフィックの発行を引き継ぎ同社を設立、代表取締役社長を務める。

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