フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社 代表取締役社長 庄司 茂
15 年連続で「輸入車ブランド別販売台数No.1」を達成、日本人にもっとも身近な輸入車ブランドがフォルクスワーゲンだ。その歴史は、1953 年にヤナセ自動車(現:ヤナセ)が108 台のフォルクスワーゲン(ビートル、トランスポーター)を正規輸入したことに端を発する。日本初上陸から60 年を超え、「さらに日本人に愛されるブランドへ」と話すフォルクスワーゲン グループ ジャパンの庄司氏に話を伺う。
庄司 茂
1963年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学卒業後、伊藤忠商事に入社。自動車関連事業に携わり、94年からマツダモーターハンガリー、2009年からスズキモーターロシアと、伊藤忠商事が出資する現地法人の社長を務める。2012年8月よりフォルクスワーゲン グループ ジャパン社長に就任。2014年よりJAIAの理事長を務める。
フォルクスワーゲンから、親しみのある“ワーゲン”へ
フェルディナント・ヤマグチ(以下F) 前回はJAIA理事長としてのインタビューでしたが、今回はフォルクスワーゲンの社長としてお話を伺います。フォルクスワーゲンは日本市場において15年連続で輸入車販売台数ナンバーワンということですが、庄司さんはどうしてそんなに長く支持されているとお考えでしょうか?
庄司 やはりお客さまにとって輸入車のエントリーというポジションをずっと変わらずに継続してきている、ということに尽きると思います。マニアックじゃないし、販売店のネットワークもある、価格帯もちょうどいい。輸入車デビューの人にも安心してお買い求めいただける。
F いったんフォルクスワーゲンにエントリーしたお客さまは、ずっとフォルクスワーゲンオーナーでいてくださると。
庄司 残念ながら、3分の1は卒業されてしまいます。
F メルセデスやBMWに行かれてしまう? フォルクスワーゲンの上位車種には乗り換えてくれないのですか?
庄司 やはりゴルフとポロの存在が大きいですね。知名度も完成度も申し分ない。ですからその上位モデルはどうしても影が薄くなっている。
F その上位となると、具体的にはどんなモデルがあるのでしょう?
庄司 セダンであればパサートや、SUVならトゥアレグといったモデルがあります。パサートはちょうど7月に新型へモデルチェンジしますから、そのタイミングでもう一度、その存在をしっかりとアピールしたいと思っています。
F 何かトピックはあるのですか?
庄司 MQBという新しいプラットフォームの採用、そして将来的にはクリーンディーゼルエンジンの搭載ですね。
F おぉ、いま話題のディーゼル。楽しみです。
庄司 本国に依頼して、日本には比較的燃費がよくて耐久性のある尿素SCR方式のディーゼルを入れます。さらに今年はプラグインハイブリッドも導入します。ダウンサイジングのはしりでもある高効率なガソリン車はもちろん、ディーゼル、そしてPHEVと、お客さまにたくさんの選択肢を用意していきます。
F だからまだまだフォルクスワーゲンを卒業しないでね、ということですね(笑)。
庄司 そうです(笑)。一方で、ずっと乗ってくださるお客さまが3分の2くらいはいるわけです。ゴルフなどは2台乗り継いでくださったら、もうだいたい離れられなくなる。
F それはなぜなのでしょうか?
庄司 良い意味で個性が強過ぎない、目立ち過ぎない、いいイメージがあるんだと思います。先日、NHKの取材を受けたんですけど、収録が終わったあとにディレクターの方が、「父親がずっとゴルフを乗り継いでいて、小さな頃からゴルフが家族のクルマだった。だからフォルクスワーゲンの社長に会えてとても嬉しい」とおっしゃってくださった。そうしたら、横にいたスタイリストの方も、「実はうちの父もゴルフだったんです・・・」となって、話がひとしきり盛り上がりました。
そこでふと、これってフォルクスワーゲンならではの感覚じゃないかと思ったんです。輸入車なんだけど、嫌味な感じがないし、純粋にクルマが好きな印象を受ける。これが日本国内でのフォルクスワーゲンのイメージで、とっても共感を得やすいブランドなんだと思うんです。
F たしかに。お父さんがずっとゴルフに乗っていた家庭で育った女性って何だかいいイメージですよね。しっかりとしていそうだし、お付き合いしたい感じがする(笑)。
庄司 ま、それはともかく(笑)。欧州車ならではのある一定の品質をもったクルマを選ばれる、そういう目をもたれたご家庭なんですね、と共鳴できますよね。
やはりこれまでビートルやゴルフやポロなどが時間をかけて積み上げてきたブランドイメージの結果として、いまもナンバーワンを維持できているのかなと考えています。
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