インタビュートップ > Vol.6 フォード・ジャパン・リミテッド 代表取締役社長 兼 CEO 森田 俊生

フォード・ジャパン・リミテッド 代表取締役社長 兼 CEO 森田 俊生

日本におけるフォードの歴史は戦前にまで遡る。米国フォードは1924年に日本フォードを設立、翌年から組立生産を開始し日本のモータリゼーションの発展に寄与する。1980年代はマツダとの提携によりオートラマを設立、1997年にフォードセールスジャパンへと社名変更。その後1999年、フォード・ジャパン・リミテッドが設立される。2011年、社長に就任した森田氏にこれからの日本でのフォード・ビジネスについて話を伺う。

フォード・ジャパン・リミテッド 代表取締役社長 兼 CEO
森田 俊生
1966年生まれ。東京都出身。東京外国語大学卒業、国際関係において学士を取得。
1994年にフォードに入社、販売企画、ロジスティックス、財務など様々な業務を担当。
2002年にはフォード・ブランドとPAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)ブランドの財務部の部長、2008年にはCFOに就任。2011年10月より現職に。
インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤 哲也

アメリカと欧州、それぞれの良さを合わせた真のグローバルカンパニーへ。

加藤  アメリカの自動車メーカーのトップと言えば“カーガイ”なイメージがありますが、森田さんももともとクルマがお好きでいらっしゃるのですか?

森田 自分自身のことを“カーガイ”と呼ぶのはちょっと憚られますが(笑)。クルマは学生の頃からずっと大好きですね。

加藤 では自動車業界には長くいらっしゃる? フォードは21年目とのことですが、それ以前はどちらに?

森田 実はある国産メーカーで、開発の部署にいました。

加藤 へぇ?。それはちょっと意外でした。経歴を拝見して、てっきり外資系企業でマーケティングなどを担当されてきたのかと思ってました。

ところで日本におけるフォードなのですが、戦前から日本法人があって、しかも工場までもっていた歴史あるブランドですから、社名の認知度は高いと思うのですが、個々のプロダクトとなると・・・。

森田 紆余曲折ありまして(笑)。ただ、日本のモータリゼーションの発展の一翼を担ってきたブランドではあると思っています。

加藤 まさにそうですよね。1999年のカー・オブ・ザ・センチュリーにT型フォードが選ばれたわけですから、大量生産方式をはじめ、それは日本だけじゃなく世界中に影響を与えてきた。

いまフォードにはアメリカの顔とヨーロッパの顔と、2つがあります。日本においてはたしか2007年頃にアメリカにシフトし、欧州フォード車の取り扱いをやめて、リンカーンを導入するといった策を取られてきましたが、近年はふたたび欧州フォードのモデルが復活しています。それにはどういった狙いがあるのでしょうか。

森田 いまフォードのグローバル戦略である“One Ford Plan”のもと、フォード・ジャパンとしても中期計画を推進しています。これは本国の前CEOのアラン・ムラーリーがうち上げた戦略で、1つのネームプレートのもとで世界中で同じ製品を提供しようというものです。お客さまにまで浸透するにはまだまだ時間が必要ですが、いまは本来の意味でグローバルカンパニーになるべく、下地作りの段階だと思っています。

これまで北米と欧州で個別にやってきたデザインも“One Global Design Language”というコンセプトのもとでデザインチームは協働しています。

加藤 たしかにいまフィエスタやまだ日本に導入されていないモンデオなども、かつてPAGグループだったアストンマーティンを彷彿とさせるデザインになっていますよね。カッコいい(笑)。またフォードのダイナミクスは各モデル素晴らしいレベルにあると思います。フォーカスもダイナミクスの面だけで見れば、あのドイツの競合をおさえてCセグメントでナンバー1と言ってもいいかもしれない。それだけにいまの状況は少しもったいない気がします。

森田 おほめいただき、ありがとうございます(笑)。実は個人的にもフォーカスは大好きで、2000年に初代フォーカスを導入してから、これまで家族用のクルマとして6?7台を乗り継いでいます。モデルチェンジする度にどんどん良くなり、日本の道、とくに狭い道でも使いやすい。だから私が社長をしているときにフォーカスの日本での販売を復活させることができて本当にうれしいのです。

加藤 われわれメディアの責任でもあると思いますが、なかなかその良さを伝えることは難しい。森田さんとしてはこれからフォードの魅力をどう打ち出していこうとお考えでしょうか?

森田 北米や欧州は本拠地ですから、すでにイメージがある程度浸透していますが、特に足りないのはアジアですね。まだまだチャレンジングなマーケットですし、我々はいまの戦略を我慢強く浸透させていく、それが私に課せられた使命だと思っています。

加藤 いまの日本におけるフォードの平均購買層は何歳くらいなのでしょうか?

森田 40から40半ばくらい、40代がメインですね。

加藤 日本で最も売れる車種といえば?

森田 実は最量販車種はエクスプローラーなんです。ここ何年もずっとそういう状況が続いています。

加藤 それは、驚きました。その理由はどのように分析されているのでしょうか?

森田 エクスプローラーはやはりSUVの草分け的な存在として、日本でも高い認知があります。現行のモデルはモノコックボディになり、かつてのトラックライドからは脱却して、近年の街乗り重視のニーズにピッタリあったものに変身しています。さらにエコブーストという2.0リッターのエンジンでFFのモデルを導入しました。これによってお客様の層が広がっています。

加藤 エクスプローラーも2.0リッターでFFですか。時代ですねえ(笑)。

森田 たしかに導入すると決めたときは各方面から本当に大丈夫なのかと心配されました(笑)。ただ、結果として国産のミニバンから代替のお客様をうまく取り込むことができました。そのおかげもあって、日本では5年連続で販売台数を伸ばすことができています。 これからも、フォードは、お客様にとって身近な輸入車でありたいですね。

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