ジャガー・ランドローバー・ジャパン 代表取締役社長 マグナス・ハンソン
1957年、新東洋企業が英国BLMC社(ジャガー、ローバー、トライアンフ、MG、ミニ)の輸入代理権を取得。ジャガー、ランドローバーをはじめ日本における英国車の歴史が幕を開ける。その後、両社は別々のブランドとして歩むが1989年、ともにフォード傘下におさまりPAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)の一員となる。2008年にジャガー・ランドローバーがフォードグループから離脱、それを機に日本においてもジャガー・ランドローバー・ジャパンが設立された。2013年に30代の若さでCEOとなったマグナス・ハンソン氏にこれからの戦略について話を伺う。
マグナス・ハンソン
1974年生まれ、スウェーデン出身。ヨーテボリ大学経済商法学部、同大インターナショナルビジネス修士課程卒業後、スウェーデンのサーブに入社。13年間で、財務、アフターセールス、プロダクト開発、セールスおよびマーケティングという多岐に渡る業務を経験。その後インフィニティに移り、香港本社でグローバルセールスのゼネラルマネージャーを担当。2年間務めたのちジャガー・ランドローバーに移籍し現職に。
イギリス製品はとても日本人の感性に合うと思います。
加藤 ハンソンさんは、いつ来日されたのですか?
ハンソン 2013年の11月ですから、もうすぐ2年ですね。
加藤 これまでもずっと自動車業界で経験を積まれてきたのですか?
ハンソン そうですね。大学卒業後はまず出身地のスウェーデンにあったサーブに入社しました。自国にはサーブとボルボの2社がありましたが、わたしは子供の頃からずっとサーブ派で、デザインやターボエンジンになどに代表されるテクノロジーにとても興味をもっていました。13年ほど勤めて、そして日産のプレミアムカーのディビジョンであるインフィニティに移りました。それまでの経験からより国際的な会社で働きたいという思いがありました。
加藤 ジャガー・ランドローバーに移られて、赴任先に日本を選ばれたのはインフィニティ時代の経験によるものですか?
ハンソン 実はそうではなくて、わたしの母親は日本人なんです。
加藤 え〜、それは驚きました。
ハンソン 父はスウェーデンの企業に勤めていたのですが、1960年代に日本に駐在した経験があり、そこで母親と知り合ったようです。その後、結婚して父と母は一緒にスウェーデンに渡ってしまいましたので、もちろんたまに母親の里帰りにつきあったり、出張で日本にくることはありましたが、これまで一度も日本に住む機会がありませんでした。いつかは日本に住んでみたい、ずっとそう思っていました。ですからジャガー・ランドローバーがヘリテイジのある魅力的なブランドであることはもちろんですが、日本にくることができるというのも私にとっては移籍への動機の1つでした。
加藤 ついに念願がかなって、日本の印象はいかがですか?
ハンソン やはり旅行でくるのと、住むのではまったく違います。率直に言って世界中でも住みやすい指折りの国だと思います。特に子供がいる家族にとっては、安全な社会で、国民性もフレンドリーであり誠実で、正直に言えば都市の景観はそれほどでもありませんが(笑)、地方ではスウェーデンと同じように自然が保全されている。そしてなにより食事がおいしい。あ、お酒もですね(笑)。
加藤 スウェーデンで幼年期をすごしたハンソンさんにとって、ジャガー・ランドローバーというブランドはどのように見えていたのですか?
ハンソン スウェーデンでもやはりドイツのクルマが人気で、ジャガーやランドローバーはユニークかつニッチで特別な存在。ドイツのクルマとは違うのだと子供心に感じていました。
加藤 なるほど。もともと歴史を振り返れば、ジャガーとランドローバーは別々の会社ですが、それをまとめて見なければいけないことの難しさみたいなものはありませんか?
ハンソン そうですね、ただ必要性があってそうなっているわけです。マーケティングや開発や製造、流通に相当なコストが必要で、かつそこでの競争力が問われる現代の状況においてはバラバラにやっていたのでは生き抜いていくのは難しい。ジャガーとランドローバーには歴史やDNAがありますから、それぞれの強みを生かしてシナジーをうみ出していく必要がある。これは他社をみても同様ですが、現代の自動車ビジネスにおいては複数のブランドを扱うことは珍しくありません。互いにいい相乗効果を得るために、異なるブランドを束ねるマネージメントスキルが要求されるのだと思います。
加藤 社内にはジャガーとランドローバー間で対抗意識があったりするのでしょうか?
ハンソン あると思います。もちろんいい意味においてですが(笑)。例えばデザイン部門では、レンジローバーのジェリー・マクガバン氏が非常に強い個性を発揮して成功していますし、一方でジャガーのイアン・カラム氏もFタイプという素晴らしいクルマを作りあげた。ともにいいクルマを作ろうという健全な競争関係は必要ですし、そうして切磋琢磨することによってよりよいものが生まれるのだと思います。
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